ライン

【Story 〜 verse.02 『世界の終わり』を囲む短編】

ライン

Story

  • 【#1 世界の終わり】


    穏やかな午後。田宮はスコーンを食べている。

    「美味しいなこのマフィン」
    「それ、スコーンだけど」
    「どちらも紅茶にあう」
    「・・落ちてない落語みたい」
    それは落語と言うのだろうか。

    山鳥の鳴き声。
    葉ずれの音。なにもかもが静かだった。
    10年前、最後にここを訪れたときとなにも変わっていなかった。

    既に世界は終わっていたというのに。


    (芥川龍之介『羅生門』をサンプリング)

  • 【#2 赤い糸】


    世の中って不幸に満ちてる。
    そう思ってるひとはあたしだけじゃないはず。
    言っておくけど、あたしだってあたしなりに生きてる。
    でも、どうやったってダメな時はダメ。
    自分の足元が少しずつ沈んでいく感じがするんだ。

    でもさ、もしひとつだけ。
    なんかひとつだけでも、とても小さくても。
    輝けるなにかがひとつだけあったら、それで笑える気がするの、あたし。

    あなたはそれを笑う?

    (芥川龍之介『蜜柑』をサンプリング)

  • 【#3 ありがとうのナイフ】


    朝比奈翔太は旧友の佐々木恵介の部屋のテーブルに、
    発泡酒といくらかのつまみの入ったコンビニ袋を置いた。
    午後11時、テレビでは今日の野球の結果がダイジェストで流れている。
    佐々木はネクタイをほどきながら、「最近どうだ」となにがうれしいのかはにかんだ。
    どこにでもある旧友同士のなごやかな時間だ。
    しかし、朝比奈は知っていた。
    佐々木の部屋にはある「ルール」があること。
    おそらく佐々木はそれには気づいていない。
    でも、俺は今夜ルールにのっとって行動に出る。覚悟はできているのだ。
    そうだ、その言葉さえ、口に出せばいい。
    「恵介」
    「なんだよ」
    「・・本当のことを話してくれて」
    「あ?」
    「ありがとう」
    勝負だ。

    (芥川龍之介『魔術』をサンプリング)

  • 【#4 ボーイ・ミーツ・ガール】

    好きなものは生クリーム。
    趣味は裁縫、料理。
    わさびは食べられないし、ビールも飲めない。
    性別、男。

    翔太はいつも思っていた。
    (なんでみんな僕の趣味を聞くと顔をしかめるんだろう・・)

    そんなある日、ついに翔太は願う。
    (女の子だったらいいのに・・)

    ある日、朝起きた翔太の体は女になっていた・・・

    (芥川龍之介『鼻』をサンプリング)

  • 【#5 幸せな結末】


    四宮は高名な画家として世間に名を知られていたが、
    傲慢で他人を信じられない性格だった。

    四宮がたった2つだけ大切にしているものがあり、
    それは自らの絵と夫の恵介だった。

    しかし、夫の恵介の病状は日に日に悪化しており、
    自らの筆もまったく進まない日々が続く。

    しかし、ある四宮にはある確信があった。
    今度の作品は必ず自分の代表作になる傑作だ、と。
    そしてそれは歴史の残る名作になると。

    (芥川龍之介『地獄変』をサンプリング)

  • 【#6 

    Coming soon!!

  • #1 世界の終わり
  • #2 赤い糸
  • #3 ありがとうのナイフ
  • #4 ボーイ・ミーツ・ガール
  • #5 幸せな結末
  • #5 彼女のランチ

Cast

葉山   ・・・ 大塚友里衣
田宮一蔵 ・・・ 霧島ロック(ここかしこの風)
朝比奈翔太・・・ 佐野功
佐々木大介・・・ 白石直也(Live Naturally Actively)
橋本三咲 ・・・ だてあずみ。(TRAPPER)
広瀬円  ・・・ 冬月ちき
四宮愛  ・・・ 大野由加里
木村法子 ・・・ 根本沙織(TEAM JAPAN SPEC.)

【文学のサンプリングという新たなガジェット】

前作『THURSDAY』にて夏目漱石『こころ』を主人公3人の過去に鮮やかにサンプリングし、ミステリー・ファンタジーという新たなジャンルに一石を投じたMiami Produce(以下MP)が第2章として選んだのは渋谷ギャラリー・ル・デコ4F。

かすかに聞こえる電車の音とゆれ、絶え間ない車通り、雑居ビルの重力を吸い込んだようなエレベーターと打ちっぱなしのコンクリートにイントレの金属感。
劇場としては極めて不完全ながら、渋谷という街の魅力が全て詰まっている場所です。街の空気を吸い込むような作品になっています。

今回は満を持して、芥川龍之介『藪の中』をサンプリング。
「10%の理解者を求む。」
MPは観ている貴方に立ち向かいます。